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2030年までのHIVの流行終結を目指す。

HIV/AIDSの流行終結を目指すための当事者および
支援団体・コミュニティ、製薬会社らによる共創型プロジェクト

HIV/AIDS GAP6とは

「HIV/AIDS GAP6」は、HIV/AIDSに存在する理解のギャップを埋めて誤解・偏見を解消し、
適切な予防・検査・治療を推進することで、HIVの流行終結を目指すコンソーシアムです。

SDGs目標3の1つに「エイズの根絶」が掲げられる中、2021年に国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、
“2030年までのHIV流行終結”を採択し、世界共通の目標となりました。
一方で日本に目を向けると、医療の進歩により状況は変わっているにもかかわらず、様々な課題が存在しています。
そんな複数の課題を解消し、世界に先駆けてHIVの流行終結を目指して2021年12月1日(世界エイズデー)に発足しました。

HIV/AIDSにまつわる 6つの
理解のギャップ

偏った情報や過去のイメージが根強く残るHIV/AIDS。
地域差による情報格差や当事者間にもある認識のズレ、そしてHIV/AIDSをそもそも知らない特に若い世代など…。
HIV/AIDS GAP6では、HIV/AIDSに存在する理解のギャップを6つに整理し、
これらのギャップを埋めていくことを活動方針とし活動しています。

01 HIVは不治の病(=死の病気)

バツマーク HIVは不治の病(=死の病気)

医療の進歩により、
不治の病ではなくなっている

HIVとはヒト免疫不全ウイルスのことで、AIDSはHIVの感染によって免疫不全が生じ、定められた様々な疾患を発症した状態をいいますが、HIV感染者の平均寿命は、早期発見と早期治療によって、一般の方とほぼ変わらないことが分かっています※1。ですが、内閣府の調査によると「エイズは死に至る病」と国民の半数が誤解※2している状況が存在しています。そのような誤解・偏見を解消し、正しい理解を周知していくことが必要です。

02 HIVは日常生活で簡単に感染するウイルス

バツマーク HIVは日常生活で
簡単に感染するウイルス

実は感染力は弱い

HIVは他のウイルスに比べ感染力が弱く、せきやくしゃみ、握手、回し飲み・食べ、お風呂やプールなど、日常生活で感染する可能性はほとんどありません※3。HIV感染の原因の8割が性的接触によるため、それに伴う予防行動は重要です。

03 HIVは男性同性愛者が感染するもの

バツマーク HIVは男性同性愛者が
感染するもの

誰にでも感染の可能性あり

HIVの感染経路としては、同性間の性的接触が65.9%ではありますが、異性間も14.0%を占めています※4。HIVは男性同性愛者だけではなく、誰にでも感染する可能性がある※5ため、適切な予防と検査が重要です。

04 HIV検査は身元が特定され、
偏見や差別をうける可能性がある

バツマーク HIV検査は身元が特定され、
偏見や差別をうける可能性がある

プライバシーが保護され、
誰でも匿名で受けることができる

HIVの検査は全国の保健所や自治体で匿名・無料で受けることができます。ほか、有料にはなりますが、希望すれば医療機関でも受けることができるだけでなく、自宅で使用できるHIV郵送検査キットもありオンライン等で入手することができます。いずれもプライバシーが保護されています。診断率の向上にむけて、これら検査機会のさらなる拡充が重要です。

05 HIVは性行為により高い確率で感染する

バツマーク HIVは性行為により高い確率で
感染する

適切な行動により感染予防ができる

HIVの感染経路の8割が性的接触ではありますが、適切なコンドーム使用により、ほぼ100%感染を予防することができます※6。また、HIVの陰性者が、感染リスクのある行為の前から抗HIV薬を服薬することで感染を予防する
PrEP(曝露前予防)薬が、2024年8月に国内承認されました。
性交渉の相手の10%減、コンドームの使用率40%、年間HIV検査率50%、PrEP普及率10%をすべて組み合わせた「複合的予防」が達成できれば2032 年に流行が終結する※7、という試算をもとにした考え方の啓発が必要です。

06 HIVに感染すると一生性行為はできない

バツマーク HIVに感染すると一生性行為は
できない

適切な治療を継続すれば、
パートナーに感染させることはない※8

HIV感染者が適切な治療を受けてウイルス量が検出限界以下に抑えられた場合、ウイルスの他者への感染リスクが極めて低くなるという「U=U(Undetectable = Untransmittable)」の考え方が昨今一般的になっています。適切な治療を続けていれば、性行為でパートナーを感染させることはないため、「U=U」の考え方を周知することが重要です。

HIVの流行終結にむけて

厚生労働省の発表によると、2024年のHIV感染者年間新規報告数は664件となり、7年ぶりに増加した2023年(669件)とほぼ横ばいとなっています。
また、AIDS患者年間新規報告数は336件となり、3年ぶりに増加した2023年(291件)よりもさらに増加しました※9
国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、HIV流行終結にむけて目指す目標
「95-95-95」(診断率95%、治療率95%、ウイルス抑制率95%)を掲げました。
国内の診断率は90%に届いておらず※10、発症してからHIV感染に気付く「いきなりエイズ」も多いとされています(2021年末時点で治療率は94.5%、ウイルス抑制率は99.6%との報告あり※11)。
GAP6では、発足から現在にかけて様々な活動を行っています。

  • 厚生労働省エイズ動向委員会「令和5(2023)年 エイズ発生動向」および「令和6年HIV感染者・エイズ患者の年間新規報告数(速報値)」
  • 国立健康機器管理研究機構「早期診断率に基づく日本国内HIV感染者数の推定(2020年4月27日)」
  • 横幕能行「我が国の拠点病院における HIV 感染症/AIDS 診療の現況」

GAP6およびGAP6メンバーによる 活動の軌跡

2021

12

世界エイズデーに発足。

2022

4

HIV/AIDSに関わる誤解・偏見の解消を目指して開発した「頭でっかち解消ボックス」を東京レインボープライドにて設置。

10

浜松市とギリアドがHIV/AIDS啓発に関する連携協定を締結。

2023

8

厚労省へ「日本におけるHIV/エイズの流行終結に向けた要望書」を提出。

10

浜松市とギリアドが要望書提出を解説するメディアセミナーを実施。

12

世界エイズデーにあわせて、渋谷の広告ビジョンでメッセージ動画を放映。

2024

4

東京レインボープライドにて、HIV検査キット自販機(試作品)を設置。

8

厚労省へ「日本におけるHIV/エイズの流行終結に向けた検査に関する要望書」を提出。

9

HIV-1感染症の曝露前予防(Pre-Exposure Prophylaxis;PrEP)に関するメディアセミナーを実施。

HIV/AIDS GAP6が
提出した要望書

HIV/AIDS GAP6では、日本におけるHIV/エイズの流行終結を2030年までに実現させることを目標に掲げ、
厚生労働大臣あてに要望書を提出しています。

活動MOVIE

  • HIV/AIDS GAP6の目標

  • UNAIDSからのメッセージ

メンバーコメント

  • 生島 嗣

    認定NPO法人ぷれいす東京

    HIV感染に気づいた人が、安心して治療を受けられるような地域の医療環境がとても大切です。さらに、新しい予防法・PrEPを利用する人たちが、安心して通える“性の健康”を支えるクリニックが、全国に必要です。

  • 後藤 智己

    社会福祉法人はばたき福祉事業団

    2030年までのHIV流行終結にむけて予防・検査・治療の拡充・進展に向け取り組んでいます。またHIV感染症の根底にある偏見・差別の解消という大きな課題も各方面の力を集結し、流行終結を達成したいと思います。

  • 柿沼 章子

    社会福祉法人はばたき福祉事業団

    医療の発展により適切な治療を受けることで『HIV=死の病』ではなく、慢性疾患として長期療養の課題が出てきています。また、地域格差の課題は未だ解決されていません。現状に合わせ誰もが困らない医療体制の拡充に取り組んでいきます。

  • 鈴木 恵子

    認定NPO法人魅惑的倶楽部

    HIV/AIDS 地方では、まだまだHIVに対しての誤解・偏見が強く残っています。HIV/AIDS GAP6では、それぞれの地域の取り組みや課題を共有することで、地域の格差なく最新で正しい情報が得られ、安心して検査、治療ができるよう取り組んでいきたいと思います。

  • 岩橋 恒太

    NPO法人akta/community center akta

    HIVや性感染症検査の「受けたくても受けられない」状況をなくすため、コミュニティと行政・医療・企業と連携し、検査アクセスの公平性と多様な選択肢を広げる取り組みを続けます。

  • 太田 ふとし

    community center ZEL

    私たちHIV/AIDS GAP6は、HIV/AIDS に関する6つの理解のギャップを埋めるために活動しています。特に、大都市圏に比べ地方では、誤解や偏見がまだまだ根強く、社会や医療現場で正しい理解を広めていく必要があります。

  • 松中 権

    一般社団法人 金沢レインボープライド

    日本全国の中でも、人口の少ない地域、理解が限定的な地域では、知見や経験を地域間で共有しながらHIV流行終結を目指すことが大切です。HIV/AIDS GAP6のメンバーとの協働や地域ごとの行政との連携を強め、誰も取り残されないような取り組みにしていきたいです。

  • ケネット・ブライスティング

    ギリアド・サイエンシズ株式会社

    GAP6を通じてコミュニティ、アドボカシー団体、企業が連携し、HIV/AIDSに関する重要なギャップを埋めながら、2030年までに⽇本におけるHIV流⾏の終結を⽬指し、取り組みを加速しています。

HIV/AIDSに関する情報リンク集